あなたが畑で刈り取るときすべてを刈り取ってはいけない。

北海道新聞夕刊のトラピスチヌ修道院の連載はなかなかよい記事だと思う。しかしながら2017.11.27の文章はいただけない。収穫後のくずイモを拾う修道女の姿を「労働の成果である天の恵みに感謝し、余すこと
がない−。その生き方はミレーが描いた『落穂拾い』の世界観に通じると感じる」としている。

ミレーが描いた画のモチーフは、自分の畑の収穫物を余すことなく刈り取る貪欲を戒め、貧しい寡婦たちにも神の恵みを分け与えなさいと命じる神の言葉である。構図が似ているからといって記者が好き勝手に感情移入していいわけでない。

「もったいない」は日本の美徳のように称揚されているが、自分で食べてしまってはただの自己満足であり、神が戒める貪欲さにもつながりかねない。修道女たちはそんな生き方を選んでいるわけではない。