世界を認識する最初の規則

ベイトソンの考えを簡潔に言えば、音声言語では何かがないことを、つまり「〜がない」という否定を表現できるようになったことが身振り手振りとは決定的に違う点だ、ということである。(ジェスパー・ホフマイヤー『生命記号論』,pp24-25)

ウィルデン(Anthony Wilden)は・・「〜ない」という単語はもともとは、単にAまたはBを選ぶ行為の規則そのものだということを示した。しかし、このAまたはBを選ぶ行為は人間が行ったり考えたりする全ての事柄に暗黙のうちに含まれているものであり、かなり根源的な規則である。なぜなら、区分することによってのみ私たちは人生に立ち向かっていく希望を持つことができる。・・認識の過程においていつでも、本質的に同一のことが行われている。ある要素(コーヒー、木、サイレン)は他の全てのもの(背景)から区分され、私たちは形態(ゲシュタルト)を作りだす。(同,p27)

Bでは「なく」Aだ。非Aでは「なく」Aだ。Aが、非Aの地の上に図として出現する。
時間的に、非Aの措定=Aの措定である。