自我・・・自己とその像との分裂

この分裂は人間の欲求の鍵をも握っている。その分離を再びもとの一体のものにまとめ上げたいという熱望こそが、人生そのものである。・・・この分裂に由来する欲求こそが、世界に意味を与え、私たちに意味を求めさせるものだ。・・・意味はそこにあるもの自体によって生じるのではなく、外面的には既にあるものの間に発生する分裂、内面的には他の何かとの関係によって生じるのである。私たちのもとの一体に戻ろうとする本能的な欲求は、この自分自身と自分の像との分裂から生じる。この分裂を取り除きたいという全体論的な夢は、喜びに満ちた死への夢であり、全ての意味の終わりへの夢である。
          (ジェスパー・ホフマイヤー『生命記号論』,pp26-27)